射場守夫

今回登場する射場さんをひとことで表現すると
「へんな人」「かわった人」です。
常識に絡め取られている人には確かにそう見えます。
でも、さまざまな立場や考え方を超えて
自由な視点でものを見て行動できれば
これから違う生き方ができるんじゃないか…。
そう思わせる「へんな人」なんです。
このお話「なんだか、自分は常識が染みついちゃってるなぁ…。」
と思っている人には、結構効くクスリかもしれません…。

人物図鑑インデックス

射場守夫_index
名前 射場 守夫 (いば もりお)
職業 弁護士
趣味 遺跡めぐり/ ドライブ
 
 

第2回 目標を達成する処方箋

イ:現在、奥様は何か仕事をされているんですか?

射:島根県出雲市で弁護士をやっています。

イ:奥様は結婚当初すでに弁護士だったんですか?

射:いえ、主婦です。当時はバイトもしていましたね。

イ:え! ということは、夫婦で弁護士を目指されたということですか?

射:そうです。

イ:最初に「弁護士になる」と言ったのはどちらですか?

射:僕の方です。僕が「司法試験を受けたい」と彼女に言うと、彼女が「私もやりたい」と言い出しました。

イ:ちょっと想像ができない展開ですけど(笑)。受験は二人同時に始められたんですか?

射:始めたのは同時ですが、やり方として、まず彼女の方から受験の山を登り始めて、その後僕が登っていくということにしました。

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イ:一人ではなく二人が合格を目指すということですから、これは困難を極める挑戦のように感じますけど…。

射:とりあえず先に出発した彼女が合格してくれると助かると…。子供が三人もいて、夫婦でギリギリの生活をしていましたから、同時に目指すと共倒れの危険がありますよね。だから、合理的に「まず彼女が先に合格するように」と考えたわけです。

イ:お二人が同時に勉強していたわけではないんですね。

射:いや、先に彼女が合格を目指すわけですけど、二人とも同時に勉強していましたよ。

イ:射場さんは後から登るし仕事もあるわけですから、当初は本格的な勉強ではなく、ウォーミングアップのような感じで勉強していたんですか?

射:ウォーミングアップなどという舐めた考え方では合格できません。そういう考えでは駄目ですね。彼女には最初から全力を出してもらわなきゃいけない。そのためには僕が死に物狂いで頑張らないとダメなんですよ。

イ:彼女を合格させるためには、まず自分に火をつけるということですか。

射:ええ。僕が仕事だけやって全然勉強も進まず、何もわからないという状態では、決して彼女の気持ちに火がつきませんからね。

イ:そうすれば、より一層合格したいと考えますね。言葉で言うほど簡単なことではないんでしょうけど…。

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射:もちろん、やる気は掃いて捨てるほどあるわけですけど、僕は仕事もやるわけですから、その分彼女に勉強をやってもらうというようにしていたんです。

イ:生活にかかる時間を自分が負担して、彼女が勉強に集中できる環境を整えたということですね。

射:その時も、「僕は仕事を中心にやっているんだから合格できなくて当たり前だ」という考え方では自分はずっと合格できない。自分は仕事以外の時間を勉強にあてて、なおかつ先に合格するくらいの勢いで勉強しないと駄目なんだと思っていましたよ。

イ:そうやって自分にも火をつけるわけですか…。それにしても、想像を超える取り組み方ですね…。

射:自分のモチベーションを上げることによって、彼女に先に合格してもらうというという考え方を徹底していました。もちろん、その時も決して自分の環境に対して言い訳はしないわけです。

イ:すごく限られた条件の中で、100%以上の力を出して、仕事もやりつつ勉強もする、そして合格するという姿勢は最初からだったんですね。

射:ええ。もちろん、その中で可能な限り子供には迷惑はかけないようにするなどの配慮もしていますよ。勉強と仕事だけだと子供がかわいそうですから…。

イ:それで、二人とも見事に合格して弁護士になったということですか…。一人だけじゃなく二人とも…。

射:そうです(笑)。

イ:お話を聴いていると、まったく迷いがありませんね。普通はある…というか、不安や迷いばかりじゃないかと思いますけど…。いや、そもそも二人で山には登りませんよ。

射:別に「プロ野球の選手になる」というわけではないですからね。プロ野球の選手はたぶん無理だと思いますけど…国会議員や総理大臣も無理ですよね(笑)。

イ:目指してなれるものじゃないですから(笑)。

射:弁護士は、当時、年に700名も合格した試験ですから、これはなれますよ。

イ:…なれますか(笑)。

射:なれますね(笑)。

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イ:でも、いわゆる「士業」を目指している人の中には、勉強を重ねても何回も不合格の人がいますよね。それでも夢を追い続けている人たちは結構いると思いますが、何が足りないんでしょうか?

射:一人一人違うと思いますけど、そういう人たちは、自分を過信していて、やり方が間違っていないと思い込んでいたり、意地の張り方が違うという傾向があるんじゃないでしょうか。

イ:具体的にはどういうことですか?

射:たとえば、模擬試験がありますが、返ってきた答案の点数を見て、ほとんどの人はガックリします。でも、落ち込む必要はないんですよ。大切なのはそこから何かを学ぶことなんです。合格にたどり着けない人は、それがちゃんとできていない人が多いと思いますね。

イ:それができるかできないかということが、合格の大きな要因であるということですか?

射:そこが一番大きいんじゃないでしょうか。合格しようと思ったら、否定的な評価を受けた時に、まずそれを受け入れなきゃ駄目なんですよ。受入れないと前へ進めません。でもプライドが高い人はそれができない。大学を出て「自分だったら合格できる」と思っているんでしょうけど…。たどり着けない人はそれができないんですよ。

イ:でも、そういう人は多いと思いますね。山に登ってもいない、私が言うことじゃないですけど…(笑)。

射:多いと思います。もったいないですよ。

(取材/2013年4月3日・4月17日)

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