今回登場する射場さんをひとことで表現すると
「へんな人」「かわった人」です。
常識に絡め取られている人には確かにそう見えます。
でも、さまざまな立場や考え方を超えて
自由な視点でものを見て行動できれば
これから違う生き方ができるんじゃないか…。
そう思わせる「へんな人」なんです。
このお話「なんだか、自分は常識が染みついちゃってるなぁ…。」
と思っている人には、結構効くクスリかもしれません…。
名前 | 射場 守夫 (いば もりお) |
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職業 | 弁護士 |
趣味 | 遺跡めぐり/ ドライブ |
イ:現在、射場さんは家族と離れて生活しているわけですけど、それによって自分の思いを伝えることが難しくなってきていると感じることはありませんか?
射:それは問題ないと思いますよ。同居していた時に、いろいろと話す機会や教えたりする時間をたくさん作りましたから…。
イ:特に意識して時間を作っていたんですか?
射:そうでもないです。その時期に「教え過ぎ、関わり過ぎは良くない」とは考えていましたね。
イ:たとえばどういうことですか?
射:学校で何か起こった場合、「どうなっているのか?」ということを子供や先生から聞きたくなりますよね。当然、聞かないといけないこともありますが、親が出ても解決にならないことも多いと感じます。子供から何か尋ねられたり相談を受けた時には、肯定的に対応するように心がけていますね。
イ:そういうことは結構あるんですか?
射:子供が小さい頃は、話すことが多かったので結構ありましたね。まぁ、関わりすぎるのも良くないですし、子供も成長してきましたから、今ぐらいの距離感がちょうどいいのかなと思っています。
イ:常に身近にいるということが一番重要なことではありませんからね。
射:ええ。親の元にいるだけでは決して得られないものも多いですよ。
イ:子供さんの今後については、どうお考えですか?
射:子供は好きに生きればいい…というより好きに生きなきゃいけないと思っています。そこをあれこれと言うつもりはまったくありません。ただ、それは自立していることが前提です。そのためには、どこかではしごを外してあげないと、自立する機会を失ってしまいますよね。
イ:仕事についてはどうですか?
射:どんな仕事をしてもいいと思います。
イ:でも、自分の選んだ仕事を否定的に捉えて仕事をすることはいけないんでしょうね。
射:それはダメですよ。
イ:親子関係に何か求めているものはありますか?
射:特に求めてないですね。たとえば「自分の思い通りに子供を育てないとけない」というのは根拠のない話ですからね。
イ:それは、たとえば子供と離れて暮らしていて、お互いが会わなくても、会いにこなくてもいいということでもあるんですか?
射:ええ。それでもいいと思いますよ。もちろん、僕から連絡もしたりするし、どうしてるか心配になりますけど、もしそれを拒絶したければそれでもいいと思いますね。
イ:それは一般的な親子関係とはかなり違うものですよ。
射:どうなんでしょうね…。たとえば、「親の面倒をみろ」とか、「オレが死んだら墓を必ず掃除しなさい」とか、「そうじゃなきゃいけない」というのが嫌いですね(笑)。それがいいとは思ってないので…。
イ:奥様とのご関係は?
射:離れて暮らしてはいますが、それは仕方がないと思っています。
イ:奥さんも「仕方がない」とおっしゃっているんですか?
射:一般的に言うと普通じゃないんでしょうね、きっと…。でも、「夫婦は一緒にいなきゃいけない」というのも根拠のない話です(笑)。ですから、彼女もできるだけ好きにやってほしいと思いますね。
イ:じゃぁ、何で夫婦である必要があるんですか?
射:それは、本当は必要なかったのかもしれませんね(笑)。でも、子育てという面で言えば、間違いなく彼女がいてくれて助かりました。それに、彼女といることで自分の悪いところが見えてくるということも多かったですね…。そういう意味では、やはりお互いに助けあっていると言えると思いますよ…。
イ:現在は別居されていますが、それによって変わった点というのはあるんですか?
射:この仕事をする前はずっと同居していたわけで、本当に家族全員で固まらないと生きていけない時代がありました。今は、ある程度固まらなくても生きていけるようになったというだけの話でしょうか…。
イ:それは、家族も柔軟に形を変化させることができるということなんでしょうか?
射:そうでしょうね。
イ:この話を伺うと「それもありだ」と思う反面、「それはおかしいでしょ」と感じる人がいるかもしれませんね。…いや、いますよ、きっと(笑)。
射:当然、いてもおかしくないですよ(笑)。
イ:それも「障害じゃないものを、障害だと思い込む」ということなんでしょうか?
射:人それぞれなんでわからないです…。たとえば、「夫婦は一緒にいなきゃいけないもの」と考えてしまうと、それは離れることに対しての障害になりますよね。でも、それは絶対で、何事にも代えられないものなんでしょうか?
イ:そう考える人は多いと思いますよ。
射:たとえば、十分な生活費をお互いに稼いでいる状態でも一緒にいなきゃいけないのか? 逆に「同居する」ということを考えると、その理由が、たとえば「子供を一緒に育てるため」と言うことなら、子供が大きくなったら「一緒にいる必要はないんじゃないか?」とか。そういうような、いろいろな視点を持つと、考え方も変わってくると思いますね。一概に「おかしい」というのではなく、何で「一緒にいなきゃいけないのか?」ということも考えないと、お互いに息苦しくなることがあるかもしれませんよ。
イ:いろんな視点で考えることによって、より個々が強くなったり、いい関係になる選択肢が見つかるかもしれないということですか?
射:そうです。当然、それだけではなくて、「毎日顔を合わせずに、経済的なつながりだけで夫婦というのはおかしいじゃないか」という考え方もあるわけです。
イ:そうなると同居をより強く求めることになるんでしょうね。それを上手く調整できればいいですけど…。
射:ええ。調整できると、おそらく同居のレベルも無段階に変わってくると思いますよ。「いつも一緒にいなきゃいけない」という場合もあると思いますけど、「一週間毎日一緒にいる必要はない」とか…そんな話になるのかもしれませんね。
イ:障害の話も独特でしたけど、家族の話も面白いですね。ただ、この話も「馴染まない」と感じる方がいると思います。射場さんは「まぁ、そうでしょうね」とおっしゃるでしょうけど…。
射:まぁ、そうでしょうね(笑)。
(取材/2013年4月3日・4月17日)
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