イ：最初米子へ来た頃は、「自分のお店を作ろう！」って思わなかったの？

河：あまりそんな欲はなかったです。

イ：出世欲はあるのに？？？

イ：自分でリスクを取りたくないということとは違いますか？

河：それもあると思います。守られた中で自分の欲を満たせるわけですから。

イ：でも結局起業するわけですよね。

河：はい

イ：厳しい大阪で実績を残していたわけで、２か月と言っても米子で働いてみて、考え方やスピード感の違いを経験すると、「起業しても結構やれるんじゃないか」というものはありましたか？

河：ありました。

イ：お店を出すにあたって、苦労したことはどんなことですか？

河：物件探しですね。限られた資金でということになると、居抜きの物件になりますが、数がすごく少ないんですよ。

イ：それでここに出会ったんだ。

河：そうです。ただ、今、窯入れてナポリピッツァを主力にしていますけど、ピッツァ屋をしようと思って起業したわけではありません。場所によって違います。ここでやるからピザ屋なんです。

イ：え！　じゃぁ、他の場所だったら、環境や雰囲気によってやることを変えていたってこと？？？

河：そうですね。

イ：じゃぁ、何でここはピッツァ屋なの？雰囲気ってこと？

河：店の雰囲気っていうのももちろんありますが、街の雰囲気。この周辺にはピッツァを出しているお店がいくつかあり、好評です。また、うちがやっている「薪窯ピッツァ」というのは米子にほとんどない。それをリーズナブルな価格で出したらいけるんじゃないかと思いました。…単純に話していますけど、結構考えました。

イ：なんかビジネスっぽい話ですね。

河：もちろんビジネスです。趣味じゃありません（笑）。良いものを提供しつつ利益をあげていかないといけません。

イ：それで、開店ということになりますが、いくら自信があっても怖くなかったですか？

河：怖かったですよ

イ：失敗したら…って考えますからね。

河：確かに、起業にあたっては結構かかるんですけど、失敗しても「人生終わった」みたいな金額じゃないし…。まぁ、ドキドキはしましたけど。

イ：開店して、実際に思うようにお客さんが来て…どうですか？

河：オープン景気があって、お昼なんか外から見たら「どんだけ繁盛してるの！」と思うほど行列ができるんですけど、お客さんの滞在時間が長いので、実質そんなに入っていないんですよ。また、これから新規のお客さんは少なくなると思っています。毎日ピッツァは食べませんから。

イ：確かに毎日は食べないなぁ…。（笑）

（取材／2013年3月）