今回登場する井田さんは、梨を作っている農家の方です。
なんだか生きづらい世の中で、
「この道は危ないな」って思っていても、
とりあえず大きな流れに身を任せてしまう…。
そんな方は多いと思います。
「ちょっぴり不安だけど、自分の道を進んでみよう!」
少しずつ、少しずつ…。
迷っている方の背中を軽く押してくれるお話です…。
名前 | 井田 速美 |
---|---|
職業 | 農業 |
イ:井田さんは、行動していく方ですね。
井:あまり行動派ではないですよ。行動力はないです(笑)。
イ:それは「井田基準」ですよ。客観的な基準だとそういう方は行動派って言うんです(笑)。
井:今は、年に1、2回くらい話を聞きに行くぐらいですから、行動的ではないですよ。でも、酒と一緒ですね。初めは味はわからなくても、何でもいいからとにかくいろんな物を飲んでみる。それで次第にいい酒がわかってくる…っていう様な感じでね…。
イ:「自分にとってのいいお酒」ということですね。
井:そうです。人と出会ったり、食べ物食べてみたり、ちょっと寄ってみようかなと思ったり…。やってみることによって「何かが違うな」ということがわかってくると思います。
イ:やっぱり行動してるじゃないですか(笑)。そういう時は、奥様と一緒なんですか?
井:家内とは「年をとったら年一回ぐらい海外旅行でも行こう」と話すこともありますけど、でも国内の農家で面白い方がいっぱいいるんで、その方たちを訪ねた方が面白いでしょうね。
イ:私もそう思います(笑)。
井:その土地のいろんな事もわかるしね。頭の中に日本の地図があっても、どこに何県があるかがちょっとわかりませんけど(笑)。いろいろと訪ねてみると肌で感じるでしょうね。
イ:今までの話にも出てきましたが、こだわりがあって面白い方も多いでしょうから…。
井:まだまだたくさんいるはずです。北海道に行った時は、「何しに来たのか?」って言われたこともありますけど(笑)。結局、人に会いに行っているんだと思います。作物は違っても、考え方とか参考になることがいっぱいありますから…。何をどうこう言ったって、人生やっぱり人との出会いですね。いろんな人と出会って教えてもらって…。
イ:これから先の井田農園はどうなるんでしょうね。
井:先の事はわかりませんね。後を継いでやるとしても、経営がわかるには3年ぐらいかかると思います。若い者には「俺が65歳になったら全部渡すぞ!」って言っていますけど…。
イ:あと2年じゃないですか!(笑) それまでに経営を身につけるというのは大変ですよ。
井:(笑)。みんなが「65歳ではまだ早い」と言うんですけど、そういう意識でやった方がいいと思っています。
イ:ご自身はどういう老後を過ごそうと思っているんですか?
井:酒とつまみを買うくらいのお金があればいいかなと思いますけどね…。何に使うって事もないし…。
イ:たぶんずっと畑に出ていると思いますけど…。
井:どうでしょうかね…(笑)。
イ:「これから農業をやってみたい」という方に、何かアドバイスはありませんか?
井:現在、都会からうちへきて仕事を手伝ってもらっている方がいますが、「仕事しながらでも、自分の畑も持ちなさい」と本当は言いたいです。会社を早期退職した方にも、「自分で何かやりなさい」と言ってはいるんですけど、何をしていいかがわからないみたいです。
イ:わからない方に、さらにアドバイスはありませんか?(笑)。
井:うちも年間を通して作業があるわけではないですから、自分の時間を持つことは十分できます。本気で農業に取り組みたかったら、その時間を大切に。少しずつ始めてもいいわけです。「人生は急がずに」ってことです…。
イ:「急がずに」ですか…。
井:まあ、そんなに急がなくても何とかなると思いますよ(笑)。私も農業を始めて40年…43年ほどになりますが、何がどうなってるのかよくわからないうちに過ぎてしまった感じがありますからね…。
イ:「よくわからない」のは、どういうところですか?
井:時代が読めませんね。誰かが作る、売れる・儲かるとなると誰もが作りだす、量が増えると値段が安くなる…。その繰り返しです。資本主義っていうのかよくわかりませんけど、競争の世界っていうのは走り続けないといけない。止まることはできませんよね。
イ:今回、何回か話題になりましたが、だからこそ自分の考えで行動するという人が求められているということなんでしょうね。
井:そういう人でないと、世界を相手に残っていけないでしょう。儲からないと言われている市場・業種でも儲けているところがありますから、やり方だと思います。時代を読んで、自分の考えを信じて、儲けていく。ということじゃないでしょうか。トヨタは今100年先を見ているんじゃないですか(笑)。
イ:だんだん長くなってきていますけど…(笑)。あそこまで大きくなったら、そのくらい見ているんでしょうね。
井:私たちは小さな存在ですけど、それでも将来を考えながら少しずつ、一歩一歩です…。
(取材/2013年8月20日)
井田農園
ホームページURL:http://ida.sunnyday.jp/
※当ページに掲載されている、写真の著作権はすべて
井田農園と株式会社インサイトに帰属しています。