求人票を裏読みする② 「経験不問」
「不問求人」の罠
求人票の備考欄に「経験不問」と書いてあるものをよく見かけますが、これを、
「経験は必要ありませんから、みなさん応募してください!」
ということと勘違いしている方がたくさんいます。
「やり方を教えれば誰にでもできる仕事」
これは確かに「経験不問」ということでしょう。しかし、
「簡単には技術習得ができない仕事」
がもし「経験不問」と出ていて、それに応募しようと思った時には注意が必要です。
過去、当社の訓練生だった方が、
「広告代理店 デザイナー 経験不問」
という求人に応募しました。これは通常少なくても、デザインソフトを扱う技術が必要ですから、「経験不問」ということは考えられません。
彼は、ソフトを扱った経験がありませんから、「経験不問」というこの求人を「奇跡的に見つけた求人」と考えて応募し、不採用でした。
話を聞くと、面接の時にこういうやりとりがあったそうです。
「あなたはデザインソフトが扱えるの?」
『できません。でも求人票には「経験不問」と書いてありましたよね』
「・・・確かにそう書きましたが、当社がもしあなたを採用したとして、経験がなければ誰かがあなたにソフトの扱い方を教える必要がありますよね。それにはコストがかかります。あなたはその『コストを上回る利益』をどうやって会社にもたらしてくれるんですか?」
『・・・・・・。(答えられず)』
採用側の立場で考えると、この質問を彼にしたのは当然だと思いますし、不採用であったこともやむをえないと感じます。
「知識、技術、経験などが必要なのに『不問』と書いてある求人」
あるいは、
「『不問』とは書いていないが、明らかに経験者が有利と思われ、
自分にはその経験がない仕事」
に応募する場合、
「自分が会社に対してどのような利益をもたらすのか」
ということを考えておくことは絶対に必要です。
当然、「利益」ということは「金銭」だけではありません。
自分自身の「伸びしろ」であったり、「他の人が持っていない技術」であったり、「人物」であってもいいわけです。また、その「利益」は会社によって違います。
「不問」の求人に対しては、そういうところまで考えを巡らせながら検討する必要があるのです。
(2012.10.6)