2020.8.28(金)
芸の極致 ~無視すんな~
芸人 内海桂子師匠が亡くなられました。97歳。
若い方には
「ナイツのネタに出てくるイジられキャラ」
と言った方がわかりやすいかもしれませんね。
(え?「それでもわからん?」、だったら無視して読め)
私は、上京した時によく行く演芸場、浅草東洋館で、
昨年末に師匠の芸を見たのが、最初で最後になりました。
「芸」とは言っても、
その時は師匠を両脇にいる芸人さんが支えていて、
ほとんど彼らがしゃべり、
師匠は聴き取れないような小声で
ひとことふたことつぶやくだけ。
それでも観客の人たちは、
師匠の元気そうな姿を温かく見守っている。
その館内の雰囲気がすごく心地よかったです。
かつて、落語家の古今亭志ん生師匠が
高座で噺中に寝てしまい、それを見たお客さんが
「いいよ、いいよ。寝かせといてやれよ」
と師匠に寄り添ったという話は有名ですが、
(え?「これもわからん?」、だったらこれも無視しろ)
なんだかそのエピソードに近い雰囲気が
あの時の演芸場にはあったと思います。
これは間違いなく「芸」のひとつであり、
しかも誰にでもできるものではない
「至芸」といえるのかもしれません。
まさしく大往生。
カッコイイ生き様でした。
ご冥福をお祈りします。
(2020.8.28)